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八王子市
市民活動支援センター
〒192-0083
八王子市旭町12-1
ファルマ802ビル5階
連絡先
TEL:042-646-1577
FAX:042-646-1587
開館時間
火~土:10時~21時
日祝:10時~17時
休館日:毎週月曜日(但し、祝日の場合は開館し、翌日火曜日を休館とします)・年末年始(12月29日~1月3日)

過去のイベント

【NPO支援講座】 2015年10月 NPO支援講座「農業に取り組む市民の様々なカタチ〜堀之内、畑めぐり〜」


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実施団体

NPOさぽーと802

活動報告

10月28日(水)、10月末だというのに、暑いくらいの日差しの中、堀之内の駅から里山の風景の残る地域を、様々な方法で農業に取り組まれている団体を訪ね歩きました。
10時に京王堀之内駅に集合し、道がイマイチ不安なガイドに連れられて、まずは寺沢里山公園へ。

【寺沢里山公園まちづくり里山楽友会】

代表の谷合一男さんにご説明、ご案内をしていただきました。

由木地区は農業が盛んで、酪農や養蚕が盛んにおこなわれ、里山の原風景が残る地域でした。都市再生機構・八王子市・市民によるこの地域の開発について約20年間の話し合いがありました。その結果、この地域には約4haが開発されず里山風景がそのまま残される事になったそうです。
(参考:多摩ニュータウンの里山と農業の役割 論文 株式会社FIO 舩木さんhttp://bit.ly/1RHw0Cf)
この寺沢里山公園は、ニュータウン開発が進むと酪農ができなくなってしまうので、それを継続するための緩衝地帯として、平成18年に八王子市が設置しました。指定管理者は一般社団法人スマートパークス由木(http://www.spyugi.jp/plan.html)です。
楽友会は、公園アドプト制度を利用して活動するボランティアグループです。ボランティア拠点の管理棟が設置されて以来9年間、この地域の農家がやってきた四季の作業をくり返し、生活文化の保存を目的に、田畑の耕作、炭焼き、季節ごとのイベントなどを行っています。
会員は100名ほどいますが、常時来ているのは30〜40人です。殆んどが男性ですが、女性も5〜6人います。以前は親子で来る人もいました。会員の住まいは南大沢、松が谷、別所などが多いです。遠くの方もいましたが、長続きするためには近いということは大事です。
規則、会費はありません。市から補助金もありません。ボランティアグループなので、会計作業、監査などが煩わしいということもあります。運営資金は、できた作物を会員が持っていくときに気持ちだけ置いていってくれるお金と、炭を売ったお金で賄っています。
作業は、毎週土曜日の午前中、年間50日活動しています。雨でも活動はあります。
8時30分集合、9時朝礼、約2時間の作業の後、お茶をして12時に解散が通常の日程です。お茶の時には、いつもトン汁、焼き芋など、何かしらを作ってくれる人がいて、それが楽しみになっています。
初めのころは収穫物でそば打ちなどもしていましたが、今は作業に追われなかなかできない状況です。一番大変な作業は、草刈りです。
通っている会員の方にとっては、四季を体感できる、野菜の旬を食べることができることが一番の報酬になっています。
子ども会や保育園のイモ掘り体験等も受け入れているほか、餅つき大会、わら細工などのイベントも行っています。
私たちは公園管理をすることで、里山を守るというまちづくりに寄与していると思っています。
ぜひ興味のある方は、土曜日に顔を出してみてください。いつでも大歓迎ですよ!

お話しを伺った後、公園内の畑、奥にある水田、炭焼き小屋までご案内していただきました。

【社会福祉法人由木かたくりの会】http://yugi-katakuri.or.jp/wp/

由木工房農園芸部の小笠原八重さんにお話しを伺いました。

知的障害者の方のの日中の作業をサポートしている活動です。利用者は5〜6人、かたくりの会は他にもパンやカフェなどいろいろな部があるのですが、他に比べ人気がないのかもしれません。
しかし、土をいじることは精神の安定につながるので、みんなとても元気ですし、野菜の持ち帰りができるという利点もあります。みんな楽しいと言って作業をしてくれています。
15haくらいの農地を借り、小規模多品種を有機栽培しています。作物は販売所で販売するほか、レストラン花畑で利用されています。依頼されて「生姜かりんとう」の生姜を栽培する他、大豆をきなこにし、きなこパンにするなどの工夫もしています。
ハクビシン、たぬきなどの獣害、気候の影響も大きいのが悩みの種です。
農作業を手伝ってくれるボランティアを募集中です。月曜日から金曜日の午前9時から午後3時まで作業をしていますので、都合のいい日時で、週1日、半日でも構いませんので、ぜひ参加してください。

こちらでは何人かの方が里芋堀りを体験しました。収穫物の里芋やレタスを各自1袋づつ、そして花束を利用者の方が一人ひとりに手渡してくれました。

この後のランチは、由木かたくりの会のレストラン花畑でいただきました。
ツアー用の特別メニュー、畑で採れた大きな里芋が入ったトン汁がとてもおいしかったです。


【里山農業クラブ】http://www.shiencenter-hachioji.org/802_library/detail.html?q=li120913-131537

代表の塩谷暢男さんにお話しを伺いました。

塩谷さんは昭和12年生まれ、栃木の農家の育ちで、子どもの時は農業を手伝っていました。当時は田植え休みがあったりして、農業を手伝うのが当たり前でした。定年してからこの活動を始めましたが、その経験がベースにあります。しかし、昭和30年代生まれ以降の人はその経験がないから農業を知らない、できないです。
この由木地区は、由木ファーマーズクラブ(鈴木昇さん)の開発反対運動があったおかげで、農地が残っています。しかし今、次の世代がいない、守り継ぐ人がいないというのが現実です。高齢化によって、耕作ができなくなる、この辺りの農業では生活ができないなどの理由により、遊んでいる時が増えています。農地法により、農地の売り買い、貸し借りができないという縛りもあります。しかし農家の方たちは、作物を作っていなくてもいつでも使える状態にしています(農地として管理)。いろいろと工夫して利用しています。農業をしないことには農地は無くなってしまう、農業をしている限りは里山は整備されます。里山は農業で守られているのです。
この地域は東京都の里山保全地域に指定されています。(保全地域の指定状況http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/nature/natural_environment/tokyo/area/index.html)永久に里山を残そうという都の動きが始まっています。市でも里山サポーター育成(http://www.city.hachioji.tokyo.jp/seikatsu/kankyohozen/kankyokyoiku/050670.html)が始まりました。勉強だけではなく、実践をしないと守ってはいけません。
農業は自然相手です。覚悟が大事だと思います。畑は素人でも何とかなりますが、稲作、水田は大変です。水の管理が大変なんです。それから病害虫の予防、除草など、本当に手がかかります。基本的に除草剤は使わず、手作業や道具を工夫して対応しています。合鴨農法などもありますが、柵の設置や収穫後の鴨の管理などいろいろ大変です。春の田んぼにれんげ草が咲くのは、れんげ草はマメ科の植物で、窒素を取り入れる肥料となるので、昔は当たり前の景色でした。ここでもれんげ草を咲かせています。
最後に「めかい」を紹介します。めかいはこの辺りの農家につたわる篠竹でつくったかごです。篠竹という身近な材料で、農業や様々な用途で使われていたものです。

塩谷さんは、田んぼを案内してくださりながら、この地域のこと、農業の未来、実際の耕作など、いろいろなお話しを聞かせてくださいました。

【株式会社FIO】http://fio8.com/

代表の舩木翔平さんにお話しを伺いました。

将来の仕事として地域に関わる仕事をしたかったんです。高校、大学と農業の学校で勉強をしてきて、自ら動ける仕事として、農業に直接関わろう、農業を通してまちづくりをしようと思いました。
新規農業就農者となるために、2年かかりました。年収1千万円の農家で週に5日、1年間働く、計画をつくる、土地を見つける等、様々なハードルがありましたが、八王子で第1号の就農者となりました。
しかし、始めてはみたものの一人では何もできないことに気が付きました。大学の後輩に声を掛け、2人(伊藤さん、大神さん)との出会い、一緒に株式会社FIOを立ち上げ、農業でまちづくりに挑むことにしました。
5000?の土地を借り、作物を作ってはみたものの初めは売り場がありませんでした。イベントに参加したりしてるうちにメディアに取り上げられるようになり、徐々に販路が広がっていきました。今は、野菜を八王子などのお店に納品する、農業に親しんでもらうためにイベントを実施するの2つの活動を中心にしています。9月に行ったはちみつ収穫祭は150人近い方に参加していただきました。その他にバーベキュー、婚活イベントなど様々なイベントを実施しています。地域柄、八王子市、多摩市の方を中心に参加していただいています。今年、牛舎小屋を改装し、新しいスペースを作ったことで、イベントが進化しました。このスペースは、平日はNPO法人やまぼうしの作業所に、土日はイベントに使っています。
地域づくりのために、NPO法人YUGI(http://yugimura.com/)も立ち上げて活動をしています。由木ファーマーズクラブの活動を引きつぎ、それぞれがバラバラにうごいている活動をつなぐ役割をしたいと思っています。

新しくできたスペースを使って説明を聞いた後、FIOさんの畑に行って、空芯菜、からし菜などの収穫体験をしました。

参加者の皆さんは、農業に興味をもっている方、始めたいと思っている方、実際に始めていて参考のために参加された方、地域での農業の活動を知りたい方などがいらっしゃいました。
印象に残った団体は様々のようでしたが、「それぞれの団体さんに個性があり、オリジナリティを感じて良かったです」「それぞれの努力と工夫があり、とても勉強になりました」「里山を守る活動をしているのが印象的です」などの感想をいただきました。
八王子市が平成24年度に行いました「八王子市民の定住意向に関する調査」報告書によりますと、八王子に住まわれたきっかけとして、自然環境の良さをあげられた方が3割近くを占めています。そのせいか、市民農園、農業ボランティアをされている市民の方も多く、援農や耕作など農業に関係した市民活動団体、NPOも数多くあります。
特に由木地域には、社会福祉法人、NPOなど、様々な形で農業に取り組んでいる団体が数多くあります。それらの団体を紹介することで、これから農業に取り組もうと思っている市民の方に、一口に農業と言っても、いろいろなアプローチの方法があることを知っていただき、自分に合った農業に取り組んでもらうことが目的でツアーを行いました。
塩谷さんが仰ってくださったように「勉強から実践へ」、どんな形でも実際に農業に関わってほしいという想いが皆さんに伝わり、参加者の皆さんにとって、次への行動へのヒントをこのツアーでつかんでくださったら嬉しいです。

農業への取組みについては、下記のサイトをご参照ください。
≪八王子市の農業振興≫
はちおうじ農業塾
http://www.city.hachioji.tokyo.jp/sangyo/nogyo/026722.html
八王子市農業体験情報
http://www.city.hachioji.tokyo.jp/sangyo/nogyo/001690.html
八王子市市民農園
http://www.city.hachioji.tokyo.jp/sangyo/nogyo/017703.html
農家手助けボランティア
http://www.city.hachioji.tokyo.jp/sangyo/nogyo/010354.html

≪農業の関わるNPO≫
NPO法人すずしろ22
http://www.geocities.jp/suzushiro22/
NPO法人すまいるカフェ
http://www.smilecafe.or.jp/
長池里山クラブ
http://www.nagaike.info/
みなみの自然塾
http://shizenjuku.minamino.in/
NPO法人農と自然〜ちびっ子農園〜
http://homepage3.nifty.com/noutoshizen/

≪就農≫
全国新規就農相談センター
http://www.nca.or.jp/Be-farmer/
農林水産省 農業を始めたい皆さんを応援します!
http://www.maff.go.jp/j/new_farmer/
公益財団法人 東京都農林水産振興財団 担い手の育成
http://www.tokyo-aff.or.jp/ninaite/index.html

≪その他≫
体験農園マイファーム 八王子農園
http://myfarmer.jp/farms/31/
シェアはたけ八王子
http://www.sharebatake.com/farmer/hachiouji/
東京農業Webサイト
http://www.tokyonogyo.jp/

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